地球にやさしい健康素材(木炭)
埼玉県の活性化木炭メーカー『高機能床下調湿木炭 すこやかもっくん』の熊谷カーボンのHP


知識とデータ 木炭で健康住宅 土壌改良用木炭 木炭で水質浄化 会社案内 TOP

■木炭の物性
 1.木炭とは
 2.木炭の組織、構造
 3.木炭の物性
 4.木炭の反応
 5.木炭の内部表面積
 6.木炭の硬さ
 7.木炭のガス吸着
 8.木炭の液体吸着
 9.木炭の表面官能基と遊離基
10.木炭の灰分


知識とデータ

 ボク、『もっくん』よろしくね!! 地球にやさしいオールド素材
木 炭

はじめに
炭が人々の生活に深く関わり、生産量も多かった江戸時代。
それは、日本の山が最も美しく保たれ災害の少なかった時代でもありました。
人は炭を焼くためにに山に入り、間材を集め、質の良い木炭の原料となる広葉樹林を守る手入れを怠りませんでした。
しかも、日本は世界で唯一、炭を目的用途に合わせ生産する技術をもつ国です。樹種を変え、製法を工夫し、その結果”備長炭(びんちょうたん)”、”池田炭”のような傑作銘柄も生まれました。
しかし近代になり、炭は私たちの生活から遠く離れた存在となってしまったのです。需要が減ったため炭焼きが廃れ、山から人が去り、山は荒れました。さらに広葉樹から針葉樹へと植林が進み保水が悪化。針葉樹は根つきも浅いため山崩れなどの災害も起こるようになりました。
そこで今、再び木炭が注目される様になってきたのです。
木炭のもつさまざまな特性は、遥か昔から人々の生活の中で伝えられてきたものですが、最近の各方面での実験・研究により、木炭の優れた性質は予想を超えるものだという事がはっきりしてきました。しかも意外な発見も多くあり、大いに注目をあびることになったのです。
折りしも世界的に『環境』への関心が高まっている中、このオールド素材の果たす役割は、ますます重要になっていくに違いありません。
地球にやさしく、生き物にやさしい木炭がハイテクと手を結び、私たちの生活を本当に潤いのある生活に変えようとしているのです。

なお、この”地球にやさしいオールド素材 『 木 炭 』”は我々の大先輩であります岸本定吉先生(林学博士・「炭焼きの会」代表理事)の講演をもとに作成したものである事をお断り致します。

バイオカーボン研究所
秋 月 克 文


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■日本の木炭
 1.日本の木炭は、品質が良い
 2.木炭にも経時変化がある
 3.木炭は土壌の浸透性を増加する
 4.木炭の農薬吸着効果
 5.木炭の汚水処理効果
 6.木炭の遠赤外線効果
 7.木炭と微生物(VA菌根の形成)
 8.木炭の土壌用効果
 9.樹木の生長促進
10.木炭の環境調整
11.木酢液/木灰の利用
12.木炭の用途
13.木炭の農業への利用
14.木炭の畜産への利用
15.木炭の建築物への利用
16.その他の木炭の利用
別添資料
   木炭の生産量と輸入量
■木炭粉土壌混合法
 1.基本的な考え方の転換
 2.土造り
■木炭粉の電子イオン法への応用
  1.快適な環境を提供する木炭粉
  2.健康ゴルフ場へのアプローチ
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林 学 博 士 岸本定吉博士直筆サイン
関連会社亀井産業株式会社
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■ 木炭の物性
1.木炭とは
 木炭とは、木材の熱分解残渣で、炭素を主とする無機高分子である。黒鉛の微結晶とこれを取り巻く無定形物質とよりなり、1〜3%の無機塩類(灰分)が分散している。
 木炭の性状は、原料と炭化方法によりかなり異なる。

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2.木炭の組織、構造
 木炭は原料木材と同様な組織、構造を有しタテにもヨコにも通ずる多くの細管よりなる。また、セルロース炭とリグニン炭の性質を合わせ有している。

木材の構造 広葉樹(コナラ)の組織模式図(山林)
クリックすると拡大表示されます A−横断面(木口)、B−径断面(柾目)、C−触断面(板目)
sPe 春材部単一導管 wF 木繊維
mP 切線状型配列の柔細胞 Ps strand型柔細胞
wFe 春材部木繊維 uR 単列放射組織
Ba 年輪界 cR 複合放射組織
wFl 秋材部繊維 Ve 春材部導管節
sPl 秋材部単一導管 sP 単一穿孔
Vl 秋材部導管節 uRh 同性単列放射組織
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3.木炭の物性
 木炭にはセルロース炭の性質とリグニン炭の性質がある。セルロース炭は反応性が大きくリグニン炭は反応性がセルロース炭より低く石炭系の炭素的特長がある。又、木炭は原料炭材の樹種、炭化方法、炭化温度によりその性質が変化する。

表1 木炭の比表面積とその他の性質
種類 樹種 精錬度 硬さ 容積重 比重 有孔率
(%)
水分
(%)
灰分
(%)
揮発分
(%)
固定炭素
(%)
比表面積
(u/g)
黒炭 ナ ラ

クヌギ

ク リ
2
8
2
8
2
2
6
6
10
10
1
5
0.66
0.62
0.72
0.76
0.39
0.43
1.60
1.40
1.73
1.44
1.63
1.68
58.9
55.9
57.6
47.4
76.0
74.6
9.06
5.38
8.22
5.16
8.64
8.86
2.18
1.63
1.56
1.10
1.03
0.67
7.21
15.23
10.29
12.26
7.82
6.86
81.55
77.76
79.93
81.48
82.51
83.61
395
393
392
375
429
392
白炭 ナラ

カシ
0
0
0
0
10
18
10
20
0.67
0.75
0.81
1.01
1.86
1.84
1.81
1.77
64.2
59.2
55.5
43.1
10.46
10.40
9.63
9.80
1.25
1.71
2.27
2.39
5.25
5.93
6.31
6.17
83.04
81.96
81.79
81.64
213
205
277
264
表2 各種木炭の性状分析結果
炭種/項目 元素分析(daf%) 元素比 比表面積 細孔容積
cc/g.10A>
平均細孔
半径A
H/C O/C CO2u/g N2u/g
アカマツ炭 94.4 2.1 0.2 0.1 3.2 0.022 0.034 280 254 0.3902 27.8
カラマツ炭 89.0 3.2 0.3 0.1 7.4 0.036 0.083 242 206 0.4020 33.2
ナラ炭(5.5>) 96.1 1.1 0.2 0.1 2.5 0.011 0.026 292 74 0.1759 12.0
ナラ炭(5.5〜7.5) 90.4 2.9 0.3 0.1 6.3 0.032 0.070 250 43 0.4518 36.1
ナラ炭(<7.5) 90.0 3.2 0.4 0.1 6.3 0.036 0.069 255 86 0.3969 31.1
樹皮炭(A) 72.5 3.9 1.0 0.1 22.5 0.054 0.310 144 3 0.5942 82.5
樹皮炭(B) 75.4 3.7 1.1 0.1 19.7 0.049 0.261 146 3 0.5317 72.8
オガ炭 93.2 1.8 0.2 0.1 4.7 0.019 0.050 284 4 0.9267 23.8
オガクズ炭 77.0 4.7 0.2 0.1 18.0 0.061 0.234 192 179 0.2281 65.3

※炭種のカッコ内の数字は精錬度(精錬度とは、木炭精錬計の指度で2点間の電気抵抗値の指数を示し、木炭の炭化の過程を迅速・容易に表示する。)

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4.木炭の反応
木炭は反応性がコークス類に比較し一番大きい。脱灰すると減少する。
表3 木炭およびコークスの反応性
No. 反応性 CO/(CO+2CO) %
試料/時間 10 20 30 40 50 60 70 80 90








カシ (白炭)
ナラ
(白炭)
カシ
(黒炭)
ナラ
(黒炭)
クヌギ
(黒炭)
ブナ
(黒炭)
ザツ
(黒炭)
ガスコークス
ガスコークス
53.3
43.2
67.4
67.2
64.9
60.8
78.3
7.7
5.6
59.9
42.3
75.0
65.5
65.3
66.2
77.7
7.2
6.5
55.9
45.9
67.6
59.1
60.0
58.5
73.8
7.2
6.5
52.4
54.3
65.7
57.5
-.
62.3
71.3
6.7
6.0
51.2
39.1
57.4
54.9
56.5
52.5
62.2
4.9
6.0
50.8
40.7
67.2
53.5
50.0
50.1
60.8
6.4
6.0
42.4
46.2
56.4
47.0
51.3
46.6
58.5
5.6
5.9
41.0
37.0
60.1
45.6
47.3
44.8
52.2
5.5
5.2
46.0
39.2
47.9
51.3
38.9
41.3
46.0
4.9
5.3
※反応性は、木炭を950℃に加熱しCOガスを通した時、その還元性を示したものである。
脱灰すると反応性は減少する。木炭の特徴のひとつは、反応性が石炭、石油、コークス類よりすこぶる大きいことである。

表4 脱灰の影響
No. 反応性 CO/(CO+2CO) % 反応性
低下率
(%)
灰 分

(%)
灰 分
低下率
(%)
10 20 30 40 50 60 70 80 90







46.4
49.7
53.6
50.7
37.1
64.5
40.8
47.6
49.0
50.8
50.8
42.6
62.7
37.5
47.3
49.7
45.0
48.0
33.5
62.2
36.5
45.2
48.0
44.1
47.3
30.4
58.0
36.3
46.9
49.9
44.0
39.0
29.0
60.5
32.5
43.8
48.3
42.6
41.1
31.6
53.0
36.0
43.3
41.3
41.0
45.3
27.7
47.5
31.0
41.2
38.3
32.5
37.6
28.8
42.5
26.8
37.1
38.4
35.9
39.9
26.1
40.1
34.5
84.6
108.3
66.6
81.2
55.8
106.3
49.5
1.53
1.06
1.93
2.05
2.58
3.50
0.92
85.0
80.3
80.1
91.5
94.9
92.1
56.1
注)※無処理試料30分反応時の比率
●文献:安部房子 「森林バイオマスの熱科学的研究」
林業試験場研究報告第352号(1988)
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5.木炭の内部表面積
木炭は内部比表面積が大きい。内部比表面積は炭化温度に比例して小さくなる。白炭は黒炭より小さい。
マツ炭(針葉樹炭)は、ナラ炭(広葉樹)より大きい。
オガクズ炭は針葉樹炭と同様に大きくオガ炭、樹皮炭は小さい。
(表1,2 参照)
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6.木炭の硬さ
木炭は、炭化温度が高くなると硬度が高くなる。また、樹種による差が大きい。ナラ類は一般的に硬度が高く、針葉樹は一般的に低い。白炭は黒炭より硬い。(表1 参照)
※木炭の硬さは三浦式木炭硬度計で示される。三浦式木炭硬度計はモー硬度を20分割し、マツ炭 を1、ザツ炭1〜5、ナラ炭6〜12、クヌギ炭8〜12、備長炭を20としている。
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7.木炭のガス吸着
NHの吸着が最も大きく、Hが最も少ない。
表5 木炭のガス吸着量 (24hrに吸着したガスの容積)
項 目 NH HCL SO NO CO CO CH
木炭の容積に対するガスの吸着量 (倍) 90 85 65 55 40 35 9.45 9.25 7.5 5 1.75
ガスの沸点  (℃) -33.5 -85 -10 -60.2 -88.7 -78 -190 -183 -196 -161.4 -253
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8.木炭の液体吸着
木炭の水分吸着量は炭化温度の上昇にしたがい増加する。(図3参照)従って白炭は黒炭より大きい。

図3 炭化温度と炭化物の水蒸気吸着量 表6 木炭の水分飽和吸着量
種 類 樹 種 精錬度 絶乾燥後の飽和水蒸気量(%)
24hr 48hr 72hr 96hr 120hr
黒 炭  コナラ 9
7〜8
5〜6
3〜4
1〜2
8.93
8.31
8.50
9.16
10.53
9.19
8.84
10.35
9.65
10.76
9.04
7.79
8.55
9.12
10.56
9.14
7.91
8.65
9.52
10.71
9.29
8.12
8.95
9.69
10.71
白 炭  コナラ
 シラカシ
 ウバメガシ
0
0
0
14.10
11.97
12.85
12.30
12.17
12.28
11.93
11.95
12.03
11.95
11.89
12.17
12.06
12.03
12.10
●文献 中里聖一
(北海道大学農学部演習林報告22,2,609,1963及び同20,157,1956)
●文献 岸本定吉
:林業試験場研究報告65,136(1953)
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9.木炭の表面官能基と遊離基
木炭には選択吸着能力がある。600℃以下で炭化した木炭にはアルカリを吸着し、700℃以上で炭化した木炭は、酸を吸着する性質がある。600℃〜700℃の間に電子の変異点がある。
表7 炭化温度による木炭の不対電子の変化
加熱温度  (℃) 不対電子×1020
セルロース炭 リグニン炭 木 炭
490
550
650
750
850
0.79
2.60
3.73
測定不能
測定不能
3.61
5.85
測定不能
測定不能
測定不能
1.21
1.68
2.1
測定不能
測定不能
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10.木炭の灰分
木炭の灰分には、石炭、カリ成分が多い。原料炭材の無機成分が炭酸塩、酸化物となり、可浴性となり、約3倍に濃縮されている。灰は木炭の燃焼性に影響し無機肥料効果、その他多くの用途がある。
木炭の無機成分は生物に必須な無機成分をバランス良く含有している。人間も植物も無機成分は、殆ど同様である。
(表9 参照) また、木炭の灰分は溶けやすく、肥効性もある。
表8 わがくに木炭の灰分
区 別 ウバメガシ (白 炭) ナ ラ (黒 炭) 備 考
灰分 1.87% 灰分 1.77%
硅 酸 木炭に対し  % 0.007 灰分に対し  % 0.36 木炭に対し  % 0.017 灰分に対し  % 0.90  SiO2
0.007 0.36 0.023 1.76  Fe2O3
アルミナ 0.104 5.39 0.004 0.23  AL2O3
チタン 0.001 0.05 0.004 0.23  TiO2
マンガン 0.095 4.92 0.004 0.23  MnO
石 灰 0.630 32.64 0.811 45.62  CaO
苦 土 0.497 25.75 0.089 5.01  MgO
カリ+ソーダ 0.398 20.53 0.029 16.29  K2O+Na
リン酸 0.060 3.11 0.046 2.60  P2O5
炭酸その他 0.131 6.79 0.482 27.13  CO2+etc
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■ 日本の木炭
1.日本の木炭は、品質が良い
 木炭は世界各国で生産されているが、日本の木炭は品質が最も優れている。備長炭(ウバメガシ白炭)、茶道用木炭(クヌギ黒炭)に比する木炭は世界にない。
表10 日本木炭の性状の一例
区 別 樹 種 元素組成 発熱量
cal/g
硬 度 備 考
炭素 % 水素 % 酸素 %
黒 炭

白 炭
コナラ
カ シ
コナラ
カ シ
89.34
87.90
93.76
94.69
2.59
2.72
0.38
0.60
6.02
7.06
3.76
1.98
6.853
7.535
6.980
6.995
11
3
20
19
硬度は三浦式木炭硬度計による。
区 別 樹 種 水 分 % 灰 分 % 揮発分 % 固定炭素 %
黒 炭

白 炭
コナラ
カ シ
コナラ
6〜8

10前後
2〜3

2〜3
10〜24

5〜10
68〜82

75〜85
●岸本定吉「炭」より丸ノ内出版/(1976)
外国の木炭は、ほとんどが日本の低品質の黒炭に相当するものが多く、一般に揮発分が多く部分的差異も大きい。
表11 日本と外国の木炭の性状
国別区別 樹 種 水分  灰分  揮発分 % 固定炭素 % 硬 度 精錬度
ユーゴスラビア
イ ン ド
中国温州産白炭
中国海南島産黒炭
中国(台湾)
アメリカ
マレーシア
ブラジルウジミナス
スウェーデン伏焼
スウェーデンキルン
フィリピンブラカン
日 本 黒 炭
日 本 白 炭
ブ ナ

サザンカ

相思樹
ヒッコリ
マングローブ




ナ ラ
ナ ラ
5.1
5.7
9.3
6.2
5.1
5.2
7.6
-
-
-
4.5
8.5
10.3
1.0
5.3
2.3
2.8
2.3
2.1
2.6
5.3
0.9
1.1
3.1
1.7
1.6
22.9
31.9
5.9
29.2
23.5
24.6
12.8
18.5
8.5
15.4
11.2
10.8
6.7
71.0
46.1
82.5
61.8
69.1
68.1
87.0
76.3
90.6
83.5
81.2
71.0
81.4
1
9
12
1〜3
1〜3
6
5〜6
-
-
-
-
8
12
8
6
0
9
8
8
8
-
-
-
-
2〜3
0
●岸本定吉「炭」より丸ノ内出版/(1976)
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2.木炭にも経時変化がある
古代木炭は現代木炭よりも揮発分が多く炭素含有量は、少ない。これは長い年月の間に酸化されているからである。
表12 元素分析結果
区 分 樹 種 N % C % H %
発掘木炭  カ シ
 リョウブ

69.7
74.1
2.4
2.8
現代木炭  カ シ(黒炭)
 カ シ(白炭)
 リョウブ(黒炭)

0.7
82.7
85.3
85.2
3.3
2.4
2.6
表13 太安萬侶墓発掘木炭と現代木炭の工業分析結果
区 分 樹 種 水分 % 灰分 % 揮発分 % 固定炭素 % 備 考
発掘木炭 カ シ
リョウブ
18.4
13.7
2.8
1.9
42.8
32.3
36.0
52.1
※分析時の提供試料はビニール袋詰である。
現代木炭 カ シ(黒炭)
カ シ(白炭)
リョウフ
(黒炭)
5.5
7.7
5.7
1.2
1.4
1.3
21.3
8.9
27.4
72.0
82.0
65.6
ダンボール詰気乾保存のもの
●奈良県立考古学研究所編「太安萬侶墓」(1981)より
木炭は土壌のPHを変化するが、施用3年後はほとんど変化はみとめられない。
表14 木炭施用後の土壌の変化
 区  別 施用 1年後 施用 2年後 施用 3年後
pH COvol/% pH COvol/% pH COvol/%
 木炭施用区 7.5 0.18 7.3 0.14 6.3 0.40
 ヤシガラ活性炭施用区 7.6 0.32 6.4 0.14 5.8 0.54
 対 照 区 6.7 0.12 5.7 0.14 5.8 0.30
測定場所:林業試験所 赤試験地(埼玉県) ●岸本「炭焼き産業をみなおそう」 山崎農業研究所双書3号より
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3.木炭は土壌の浸透性を増加する
土壌の改質効果が大きいため、昭和61年11月26日付官報で「地力増進法の指定品目」になった。
表15 資材別透水性改善率
資材名 透水性改善率 %  備   考
5%混入のもの 20%混入のもの
パーライト - 90.5 -
バーミキュライト - 84.5 -
モミガラ炭 79.0 377.0 -
バーク炭 60.5 192.5 ナ ラ
オガ炭(粉) 43.8 29.8 奈良炭化
ペレット炭 16.0 41.0 試作品 外材鋸屑
ペレット炭 22.0 58.0 内地材 N材鋸屑
ペレット炭 27.0 50.0 北洋材樹皮
鋸屑炭 140.0 360.0 内地N材
バーク炭 220.0 710.0 北洋材
廃材炭 210.0 430.0 住宅解体材
●肥料検定協会調べ
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4.木炭の農薬吸着効果
木炭は農薬の希釈溶液より農薬を吸着する性能がある。
表16 木炭の塩素系農薬吸着量 (r-BHC 1ppm)溶液
  無機化合物(フロジル・シリカゲル・カオリン・無水ケイサン) 0.0001 〜 0.01 mg/g
  フミン酸 0.4 〜 0.7 mg/g
  土  壌 0.01 〜 0.1 mg/g
  木  炭 10 〜 50 mg/g
  土壌鉱物 0.0001 〜 0.01 mg/g
  土  壌 0.01 〜 0.1 mg/g
  木  炭 10 〜 50 mg/g
1.木炭は土壌の100〜500倍農薬を吸着する。
2.木炭の農薬吸着量は、1g当り10〜50mg、農薬 1t当り100〜200t
●木材炭化成分利用技術開発家急組合資料より作成
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5.木炭の汚水処理効果
木炭は汚水中で、その内部表面に生物膜をつくりやすく、汚水の浄化機能が大きい。また、合併層では特に効果が大きい。
表17 小林式100型木炭施用糞尿浄化槽の例
項 目 山中方 魚谷方
濾過槽 放流水 濾過槽 放流水
色 相 淡黄白色 微白色 淡黄白色 微白色
臭 気 なし なし
透視度(5号活字) 6.0 30以上 3.7 30以上
pH 6.8 7.0 7.8 6.2
塩素イオンppm 82.3 62.3 122 100
メチレン・ブルー脱色時間 5分 24時間以上 1時間 24時間以上
4時間酸素吸収量 28.5 3.5 27.7 5.9
BOD ppm 80.4 1.6 58.0 3.4
アンモニア性窒素 ppm 90.2 0.1以下 151 0.2
アルブミノイド窒素 ppm 7.0 0.3 12.7 0.6
亜硝酸反応 (-) (-) (-) (-)
硝酸反応 (-) (-) (-) (-)
浮遊物質(SS) ppm 2.2 0.5 6.7 0.7
水 温 ℃ 20.9 20.7 20.2 20.2
●山口県衛生試験所調べ 下関市松原団地 昭和47年10月4日〜9日
汚染小河川、渓流の場合、微量の洗剤を吸着するため、魚、蛍などの再棲が期待できる。
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6.木炭の遠赤外線効果
木炭は波長0.7〜2μ領域の遠赤外線量が多くこの波長領域の遠赤外線は最も加熱効果が大きい。
表18 木炭の遠赤外線量
試 料 遠赤外線量(W/cu)
0.7〜2μ 2〜5μ 5〜14μ
備長炭 3.23×10-2 4.40×10-2 2.42×10-2
針葉樹炭 3.28×10-2 5.09×10-2 2.36×10-2
クヌギ炭 2.76×10-2 4.58×10-2 2.66×10-2
●岸本:世界林業研究、第503部会 黒田講演試料より(1988)
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7.木炭と微生物(VA菌根の形成)

表19 炭肥料で栽培したダイズの収量  播種3ヶ月後にダイズを収穫してみると、根粒や内生菌根が多かった区では、【表19】に示すように高度化成肥料の多用区。200mg/uにほぼ匹敵する収量がえられた。したがって、炭肥料500g/u中の肥料はわずか5gにすぎないので、化成肥料の使用量が1/40で間に合ったことになる。また、土の中にできる内生菌根をつくろ菌Gigaspora ssp.の胞子数もこのダイズの収量にかなりかなり比例していた。
 なぜ、炭が効くのだろう。細かなメカニズムはまだこれから研究しなければならないが、ショウロの場合と同じように、やはり炭のかけらが共生微生物の棲み家になったらしい。植物であるダイズは光合成によって炭水化物をつくる。内生菌根をつくるカビは植物から炭水化物をもらい、、リン酸やカリなどの養分吸収を助ける。窒素固定菌、リゾビウムは双方から養分をもらって窒素を固定している。この働きのおかげでマメ科植物はやせ地でも育つことが出来るといわれている。 

(小川真/資料より)

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8.木炭の土壌用効果
木炭は透水性改善効果が大きい。
表20 木炭の改善効果
試 料 黒 炭 白 炭 モミガラ炭
粒 径 1〜2mm <0.2mm 1〜2mm <0.2mm (現 物)
水分 % 5.45 6.80 7.44 7.44 2.65
真比重
容積質量(微量)
1.55
0.364
-
0.462
1.65
0.416
-
0.565
1.71
0.133
最大容水量 1)
最大容水量 2)
156
150
147
145
136
123
131
122
562
490
pF1.5にける保水量
pF1.5にける粗孔げき
69.4
29.3
132
6.0
60.5
25.8
110
6.8
100
51.9
見有効水分
pF1.5〜2.7に保持される水分量
5.7 58.1 7.6 39.4 12.0
土壌施用処理
保水性改善率
透水性改善率
容積比重改善率 

14.6
88.9
8.9

-
-
-

4.9
4.9
4.9

-
-
-

-
-
-
陽イオン交換容量 4.5 - 2.6 - -
●日本肥料検定協会(分析者 千葉敏雄)
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9.樹木の生長促進
木炭粉は根の発育を促進し生長を促進する。
表21 樹木の生長試験(木炭施用5年後の状況)
区 別 樹 高 cm 全重量 g 根元直径 cm
木炭施用区 354 3.256 6.1
ヤシガラ活性炭施用区 380 3.188 6.4
対 照 区 281 1.308 4.7

注 1.測定場所  農水省林業試験場赤沼試験地
   2.測定期間  1973年3月〜19774月、5カ年間。
   3.樹 種    スギ。
   4.杉浦銀治他「農林業用木炭の利用開発」、
     山路木曾男他「木炭施用による木材の根系調査」から作成。
             ・岸本「木炭産業を見直そう」山崎農業研究所叢書3号より転載。
  

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10.木炭の環境調整
床下に木炭を敷くと、住宅の結露防止、保温、脱臭、シロアリ、家ダニの予防、腐菌の発生防止に効果があり、四季を通じて快適な居住環境が得られる。このために特に調整された袋入り木炭が市販されている。 
表22 住宅床下調湿を目的とした木質炭素種別吸脱着実験 ●木炭の水分脱着(暁技研資料より)
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11.木酢液/木灰の利用
炭焼きの際排出する煙は公害となる恐れがある。
これは容易に回収される。この液を木酢液という。酢酸液約3%を含む木酢液で200種類以上の成分を含んでいる。農薬、医薬、防臭材剤、薫製食品原料、染料、動物飼料添加剤など各種の利用法が開発されている。木酢液は木炭量以上の回収が可能である。
また、炭窯からは大量の木灰が拾得される。
 通常、木灰は木炭量の約3%含有されているが炭窯は燃料材を使用するためこれらの木灰を合計すると約5%位生産される。木灰は貴重なミネラルで現在、陶芸の釉薬、無機肥料等に使用されているが生物には必取の成分がバランス良く含まれているため、今後の利用技術開発が期待される。
これらの副産物の利用が開発されると木炭の生産量は2〜3倍に著増する。
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12.木炭の用途
木炭には種々の用途があるが、その用途により適正木炭がある。たとえば、活性炭としてマツ黒炭(脱色用)、ヤシガラ炭(気体吸着用)、また、研磨炭としてホホノキ白炭、アブラギリ白炭など。
《木炭の利用法》
A.物理的利用法
(1)多孔性を利用する方法
活性炭、水処理炭、空気清浄材、廃棄処理材、土壌改良材、ろ過材、各種構造用材、魚礁、微生物培養器材、住宅露点防止材など

(2)研磨性を利用する方法
漆器研磨、印刷用銅板、亜鉛版研磨、七宝研磨化粧用、器具清浄用など

(3)吸光性を利用する方法
温水器、融雪材、地温上昇材など

(4)電気特性を利用する方法
電流アース用、電磁波遮蔽材、電極用、カーボンフィラメント用、空気電池用

(5)その他の利用方法
断熱材、防音材など
B.化学的利用法
(1)反応性を利用する方法
金属精錬、着火剤、黒色火薬、二酸化炭素・その他化学薬品の製造、木炭ガス化

(2)エネルギー的利用方法
家庭用、業務用、動力用

(3)無機成分を利用する方法
無機質肥料、微量要素の補給、抽薬その他セラミック利用
C.趣味的利用法
御花炭、各種植物各部の炭化物、装飾炭、華道用、木炭のオブジェなど

岸本、「現代的によみがえった炭」
「農業富民」昭和63年2月号 (60巻の2号)富民協会編より

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13.木炭の農業への利用
木炭は粉炭で使う用途により、粒度の異なる。また木炭は価格が高いため高級果菜(メロンなど)、施設園芸、その他高価な農作物の栽培に使う例が多い。
●農地の改良
●連作障害の解消
●農薬、過剰肥料の吸収
●農地微生物の増加
●梨園の石梨防止
●葡萄園の糖度増加
●林檎台木の活着力増加
●茶園の枯れ死防止と茶葉の渋味減少等     
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14.木炭の畜産への利用
●良質サイレージが仕上り、目減りが殆どなくなる
●飼料の分解を良くし、栄養価(消化)を高める
●糞尿の悪臭がなくなり、畜舎のガス発生をなくす
●飼料の汚染物質を中和し、胃腸のガス発生をなくす
●下痢症、鼓膨症、繁殖障害、乳房炎、胃腸障害等の疾病をなくす
●産肉・産卵量の増大
●産肉・産卵の質の向上
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15.木炭の建築物への利用
●建築物の耐用年数が永くなる
●住宅環境が改善され、快適で健康な生活ができる
●農業倉庫、食品貯蔵庫等の保管性の向上
●ホテル、遊技場等の居住性の向上
●建築物の湿度調整
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16.その他の木炭の利用
●環境衛生利用/ゴミ悪臭消臭。飲料水ろ過。冷蔵庫消臭。
●ゴルフ場利用/無農薬方式経営の実現。健康ゴルフ場へのアプローチ。芝の健全育成と維持期間の延長。 
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▼別添資料 木炭の生産量と輸入量

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■ 木炭粉土壌混合法
1.基本的な考え方の転換
肥料が植物を育成するのではなく、いわゆる”土”がその働きをする。”土造り”の重要性がここにあります。
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2.土造り
@土壌の生物的機能
 有機肥料(菜種カス、骨粉、魚粉等)や堆肥を投入する最大の目的はその中のN、P、K、等の肥料成分を直接植物に摂取させるのではなく、作土層及び根圏部の微生物群に”餌”を提供することにあります。
 これら微生物群を活性化することにより、土壌中の腐植分の増大をはかると共に植物が摂取しにくい成分を吸収しやすい形に変換してくれる。こういった重要な役割を果たす微生物群に酸素や必要なミネラル、適当な水分等を植物の要求に応じて供給するのが木炭の最大な役目であります。

A土壌の化学的機能

●pHの調整

●保肥力の増大

●ミネラルの供給

●その他
B土壌の物理的性能

●透水性の改善

●保水性の改善

●通気性の改善
図4 根圏の構造
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pH
 植物の生育にはpHの安定が非常に重要です。安定させるには、土壌に大きい緩衝能が必要で、この緩衝能を高めるのには腐植−粘土鉱物−木炭粉の強力な結合体が必要です。一般的に畑地で茶のような特別のものは別にしてpH6〜6.5(弱酸性)、水田では5〜6(酸性)で安定させたい。

微量要素成分
 土の中に含まれている量は非常に少ないが、それが極度にすくなくなるがあるいは植物に利用できない形になると、植物がその欠乏症におかされ成分としてホウ素、ヨウ素、モリブデン、ニッケル等が知られ、これらの要素にマグネシュウム及びマンガンを加えて微量要素といいます。
 現在生産されている農作物の殆どに、この微量要素が不足しているといわれ、それを食する人間を含む動物たちにとってその健康維持に大きな問題があるといわれつつあります。我が国でも昭和30年以降多収穫の農法により収量が増加したのに肥料成分が化学肥料中心で、たいきゅう肥のような自給肥料の施用の減少が微量要素の不足の大きな原因であるが、従来顧にられなかった欠乏症状が最近理論的に解明され、それに注意が向けられた結果多くの地区で発見され始めたことにもよるでしょう。木炭粉には短期的で生体となるモミガラやヤシガラと異なり、数十年以上にわたって大地から微量成分を吸収している樹木が原料であり、しかも多めに必要なものは多めに、微量でよいものは微量にバランスよく含まれている。この木材をできるだけ低温で安定的に炭化させることにより植物が吸収しやすい状態にすることができる。

分析試験成績
針葉樹系木炭の気相分は80%以上あります。 表23 木炭粉透水性改善率 表24 木炭保水水性改善率
▼単位容積質量  0.23kg/l

▼比重 ・・・・・・・ 1.56

▼三相分布
  固 相 ・・・・・ 8.8%
  液 相 ・・・・・ 9.2%
  気 相 ・・・・・ 82.0%
クリックすると拡大表示されます クリックすると拡大表示されます
●(財)肥料検定協会 調べ ●(財)肥料検定協会 調べ
以上の如く有機物と木炭粉を同時に投入することにより各々単独に施用する方法に比して数倍の効果が期待できると共に、その他効果も着々と発表されつつあります。
 こういった昔から農法の良いところを見なおすことにより植物本来の活力を取り戻し病気に対する耐病性をつけることになります。
 いわゆる最近問題になっている薬剤防除法から安全な生態防除法へ切り替えていくことにより、減(無)農薬法へのアプローチが可能となります。又、このような有機物+木炭粉混合施用方法に使用する木炭粉はミネラル成分をガラス化しないよう、極力低温で炭化するいわゆる黒炭系でなければなりません。
図5 具体的な施用法及び例
施用割合:
(新設ゴルフ場の場合)
植えつけ土壌の性質、その他によって土壌中への混合割合が変化するが、従来の経験から、略、耕起土壌容量に対し容積比で1%〜2%が最適である。具体的には芝植えつけ時に、他の資材等といっしょに、手まき、その他で散布。

(農地の場合)
略、耕土壌容量に対し、容積として1%になるまで投入して下さい。
あとは投入量の10%すなわち耕起土容量に対し容積比で0.1%、毎年補充して下さい。

以上のような農園芸界、ゴルフ場を主とする緑化業界向けとして有機物、木炭粉を各々別々に投入する従来の方法に対して、新しい製法による新資材、”炭堆肥”が現在開発されつつあり、将来は一つの主流となることが予想されます。
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■ 木炭粉の電子イオン法への応用
1.快適な環境を提供する木炭粉
木炭を焼く温度、いわゆる乾留温度や最後の精錬温度を650℃以上にすることにより非常に通電性の良い木炭が得られます。
 こういった木炭に電子イオンの整流及び蓄積等の役目をさせる方法で現時点では十分な理論的解明には未だ到達していませんが、地球物理学、量子物理学、考古学等の世界から解明へのアプローチがなされつつあります。しかし理論的な解明とは別に実際施用面で着々と実績が発表されています。
 また、このようなプロセスに使用する木炭粉は白炭系又は活性炭系でなければなりません。
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2.健康ゴルフ場へのアプローチ
 10a当り平均5ヶ所の井戸(1m×1m深さ)を掘りそのなかに通電性の木炭粉(白炭系木炭)を埋め込み地電流を整電することにより近郊の土壌及び地上部をマイナスイオン化して芝の生育を活性化すると共に地上部のゴルファーにより快適な環境を提供する。
図6 地電流の流れ
図7 ゴルフ場への施用例
出 典:「地球にやさしいオールド素材 木炭」
バイオカーボン研究所  秋月 克文
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